日々是気付

でっかくて長いひとりごと。自己満。

ブラッドブラザース 総括

新橋演舞場で2/28に東京楽日を迎えたブラッドブラザース。
わたしは1階席から、3階席からの2回観劇してきた。1階席からは全体を、3階席からは演者たちの表情を。

あ、ネタバレ含みますのでお気をつけくださいませ。



とりあえず終わった後の一言。
誇らしかった。こんな素晴らしいカンパニーに囲まれて、活き活きしている2人を観て、この人たちをこの先もずっとずっと見つめていきたいと思った。吸収できることが山ほどあろう。ここで得た力を、グループに持ち帰ってどうパワーアップして見せてくれるのか、もう光しか見えない。

わたしは、演者・桐山照史が本当に好きで、この人の演技は舞台でこの目で見なければ絶対に後悔する、そう考えていた矢先にこの演技仕事。
タイミング神か。

そして、どれだけ推しが出演していようと、作品自体に興味がなければ行っても何も得られないと思っているので、作品のことも少しだけ調べてみた。舞台職人の大先輩であるV6の坂本リーダーが出演していたという作品。そして、格差社会の中で生きる人々に焦点を当てた作品。これは両親に感謝しなければいけないことだが、自分は極端な格差社会の中にはいない(と思っている)。しかしこれは今まさに世界のどこかで起きている事実。何か得よう、そして考えよう、そのきっかけにしたい。そう考えて、新橋演舞場に足を踏み入れた。

1幕
意味分からないくらいにかわいい。1幕終わって頭抱えた。成人男性が子どもを演じているんではない。完全に子どもだった。舌ったらずな感じも、もじもじする細かい仕草も、お母さんに甘える目線ですらも7歳児だった。
この時期子どもたちはおもちゃのピストルを使った遊びが大好きだった。このピストルが物語のクライマックスで重要な役割を果たすことを知っていたので、1幕から込み上げてくるものがあった。こんな序盤から付箋置きます…⁈って驚いていた。
パンフレットのインタビューでは、「演出家に、『大人が子どもを演じてもつまらない。完全に子どもになってほしい』と言われた」という2人。それがどれだけ難しいことか素人には理解の範疇を超えてしまっていると思うけれど、ただ、相当難しいことを要求されていることだけは分かる。しかし舞台の2人は完全に子どもだった。劇中、エディミッキーが歌う「My best friend」があるが、この歌い方も完全に7歳児。ただ歌が上手いだけでは表現しきれない“子ども感”。声のトーンから舌ったらずな歌い方、目の輝き、ふとした仕草…
演者の表情をオペラグラスで細かく見たら、思った以上にまぁ表情がコロコロ変わる…!!!表情筋すごい。あとあれだけ元気いっぱいなら使うエネルギーハンパない。当たり前だけれど、一瞬の隙もなく役を生きている。ミッキーちゃんはサミーお兄ちゃんのことものすごい見てるしなんでも真似する。同じことしたがる。そりゃね、弟だもんね。
エディちゃんは、ミッキーちゃんと遊んでいるとき、見るもの聞くものすべてが物珍しくて新しいものだらけで顔が常に輝いてる。キラキラしてる。どうしてママにミッキーと遊んじゃいけないって言われてるのか分からなくてソファばんばん叩くの可愛いがすぎるよエディちゃん。そこね、ここポイントなんだけど、余裕があったら見てほしい。やってること7歳児なのにソファ思いっきり叩く腕っぷしが21歳でギャップかわいすぎか。
身長こそ大きいものの、放つ空気は子どもそのもの。演出家のこの難しい要求を完璧に自分のものとして表現している2人を見ることが出来たことで、観劇しに来た価値は十分でないかと思った。
Jr.の時代から舞台に立ち、力をつけてきていたからこその表現だったと感じた。
いやーこれは初心者には難題すぎるよ。これを見事に表現した2人に、1幕終わりですでにスタオベしたかった。

2幕
突然14歳になるよ。こちらは意味分からないくらいかっこいいありがとうございます。なんなのミッキーちゃんオールバックにしたメイクさん最高か。出てきたときちょっと悲鳴上げそうになった。っていうか声出そうだったから口元隠した。
一気に声のトーンが落ちる。あと、大人になりたいのになりきれない思春期特有のじれったさを巧みに表現してくるあたりやっぱりこの人たち舞台人だと思った。好きって言えないミッキーちゃんとか、逆に堂々と言っちゃうリンダとか。すごく人間らしい。
先に郊外に引っ越したエディちゃんと都市開発のおかげで郊外に引っ越しさせられたミッキーちゃんが再会をして、えっちい映画観に行くくだりは思いっきり笑った。天下のジャニーズが舞台でものすごい単語連発してる事実にめっちゃ笑った。なんなら笑いすぎておなかいたいのちょっと引きずった。ここは早くのんとしげに楽屋で思いっきりいじられてくれ。
あと、2人の双子っぷりがすごい。いろいろな仕草がシンクロしてるから改めてそういえばこの2人双子だった…ってその運命にちょっと悲しくもなるけど。

リンダへの愛に気づいたエディ神山くんのソロ。生バンドバックに背負って1人で堂々と歌い上げる自担超絶かっこよかった…!!!いつも聴いてるアイドル神山智洋の歌声ではなくて、切ない思いをのせたエディが歌っていた。全然別物。アイドルのかけらもない。舞台人神山智洋がそこにいた。

兄の発砲事件に巻き込まれて逮捕されたことをきっかけにミッキーは鬱状態となり、薬が手放せなくなる。
ここで、それまでミッキーの瞳に宿っていた光が一瞬にして消える。これを表現する桐山照史ものすごかった…
すべてに脱力し、台詞からも力強さがまったくなくなる。

そしてクライマックスでエディとミッキーが倒れた後。
この先は3階から見て新しい発見があった。同じように倒れこみ息絶えるエディとミッキーの手を取り、重ねるジョンストン夫人(双子のお母さん)の姿があった。
やはり双子は一緒でなければならなかった。育つ環境も何もかも。

ここからはわたしの個人的な見解。
もし、議会にお母さんが入って来なければ、事実を知らないままだったら、2人は死なずに済んだ…?だって、エディに説得されてピストルを置こうとしていた。俺は何をしようとしていたんだ…?そう呟きながら…
最期の言葉が、母と兄弟の片割れに対する残酷な言葉だったことに悲しみしかない。なぜ。どうして。そんな思いばかりを抱きながら、物語は終わりに近づく…
同じ日に生まれ、同じ日に死んだ双子の物語。

格差社会の中でも懸命に生きようとする姿を繊細に、しかし堂々と、活き活きと舞台で表現する人たちがわたしの応援している人だという事実に、胸が熱くなる。
わたしはどうだろう。こんなに活き活きと生きることが出来ているだろうか。土俵は違えど、日々成長しているのだろうか。
ファンはタレントの鏡という。恥ずべき箇所は大いにあるだろうと思う。

わたしにとって、現場とは自分の芯を見つめ直す場所。
わたしも彼らのように、素敵な仲間に恵まれ、環境に恵まれているはず。それならばその環境に恥じぬよう、生きる必要があるのではないか…?



照史、神ちゃん。素敵な時間を有難う。また、会いにいきます。
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